高山病について
高山病は高度2,000mくらいから酸素欠乏によっておこる身体の様々な症状の総称です。高齢者の場合は、高度1,500mくらいから起こる場合もあり注意が必要です。高山病予防の一番良い方法は、ゆっくりとした計画を組むことです。
高山病には、
1)山酔い:acute mountain sickness (AMS)
2)高所脳浮腫:high-altitude cerebral edema (HACE)
3)高所肺水腫:high-altitude pulmonary edema (HAPE)
があります。特に山酔いは、3,000mの高さで10%の人がかかり、3,500mで30%、4,000mで50%の人がかかると言われています。
ダイアモックス療法について
当医院では高山病の予防薬ダイアモックスを処方しています。
ダイアモックス(アセタゾラミド)は、高山病の予防に有効と言われており、高所への登山や旅行などの際に役立ちます。また、山酔いにかかった場合の応急処置としても使用することが可能です。当院は高山病予防のためダイアモックスの処方を行っています。
診察後に院外処方箋を発行させていただきます。予防薬は全て保険診療外となりますので予めご了承ください。
予約制でダイアモックスの処方をしております。受診前に電話予約をお願い致します。現在治療中の病気がある方はかかりつけの先生に、内服していいか事前にお尋ね下さい。また受診の際に、内服されている内容がわかる書類、お薬手帳などの持参をお願い致します。
用法について
3,000メートル以上の高所に行く前日より
→ ダイアモックス 1/2T (125mg) を朝・夕食後服用
3,000メートル以上の高所にいる間の第1日目、第2日目、第3日目に
→ ダイアモックス 1/2T (125mg) を朝・夕食後服用
※3日以内に下山した場合も3,000メートル以上にいるとき間だけ服用。
これでも、頭痛、めまい、脱力が生じた場合には、1錠(250mg)服用します。下山後の服用の必要はありません。
※3,000mの高所に、3日間以上いるのならば、1/2Tの予防内服を3日間続けます。4日目からの服用の必要はありません。
サルファ剤アレルギー
ダイアモックスはサルファ剤であり、サルファ剤アレルギーのある方は服用できません。
副作用
頻尿、軽い手足のしびれが出ることがあります。
ダイアモックス服用の注意点
ダイアモックスは高地脳浮腫を含む高山病の治療薬としても用いることができますが、高山病のすべての症状に効果があるわけではありません。予防薬としてダイアモックスを服用しても高山病を発症してしまった場合、ダイアモックスを治療薬として用います。
治療薬として服用するときは、予防の倍量となり、1回1錠(250mg)を1日2回服用します。頭痛薬や吐き気止めと併用してもかまいません。
ダイアモックスを服用しても高山病の症状が悪化する場合、すぐに下山するなどの対応が必要です。
エピペン
当医院では、アナフィラキシーショック補助治療薬エピペンを取り扱っております。
エピペンは、ハチ毒、食物及び薬物等によるアレルギーを治す薬剤ではなく、アナフィラキシーの症状を緩和するために、自己注射する補助治療剤です。エピペンには、アナフィラキシー発現時の治療に用いられるアドレナリン(エピネフリン)の薬液と注射針がキットになっています。一度使用したら、早急に医療機関に受診してください。
黒い先端を太ももの前外側に強く押し付けるだけで、バネの力により一定量(約0.3mL)の薬液が筋肉内に注射されるしくみになっています(自分で量を計る必要はありません)。
エピペンは、「アナフィラキシーショックが発現した際の補助治療を目的とした自己注射用製剤」であり、使用後は必ず医療機関に受診してください。
■ 必ずお読みください。
- エピペンはアナフィラキシー発現時の補助治療剤です。
- エピペンの有効時間は注射後10分から20分です。
- エピペンの注射は医療機関での治療に変わりうるものではありません。
- アナフィラキシー症状は様々であり、エピペンを投与したからといって必ずしも有効ではありません。
- エピペンの治療には限界があり、注射後は直ちに医師の診察・治療を受けてください。
- 使用済のエピペンと、安全キャップは医師に渡してください。
- アナフィラキシー症状は数時間後に出現することがあります。
- エピペンを誤って注射した場合は医師に連絡してください。
エピペン適正使用のお願い
エピペンガイドブック
エピペン使用情報
予約制でエピペンの処方をしております。処方を希望される方は受診前に電話予約をお願い致します。。診察、説明、処方日を調整させていただきます。エピペンの処方には、適正使用同意書へのご署名が必要となります。
2011年9月7日に厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)が開催され、その中で食物アレルギーなどによる重篤な症状に対処する、アドレナリン自己注射薬(エピペン)の保険適用を了承されました。2011年9月22日から保険適用となりました。対象となる方は保険診療で処方が可能となっています。
※アナフィラキシーの既往のある方、またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い方に限り保険適応となることにご注意ください。
アナフィラキシーとは
ヒトにとって異物が体内に侵入したときに、体を守ろうとする防御(免疫)反応が、体に不利に作用し、かゆみ、くしゃみ、炎症、喘息などの様々な症状を引き起こすのがアレルギーです。
アナフィラキシーとは、アレルギーの原因物質(アレルゲンまたは抗原)に接触したり、摂取した後に、数分から数十分以内にアレルギーによる症状が体の複数の臓器や全身に現れる激しい急性(即時型)のアレルギーです。重症の場合には、呼吸困難や意識障害を引き起こし、ショック(アナフィラキシー・ショック)を起こすこともあります。
アナフィラキシーショックとは
アナフィラキシーショックとは急性で全身性のアレルギーのことです。アレルギーの原因物質(アレルゲン、例えばスズメバチに刺される・卵・小麦・そばを摂取する)に接触したり、摂取した後に、数分から数十分以内にアレルギーによる症状が体の複数の臓器や全身に現れる激い急性(即時性)のアレルギーで、重傷の場合には呼吸困難や意識障害を引き起こし、最悪、死につながることもあります。
エピペンは、「アナフィラキシーショックが発現した際の補助治療を目的とした自己注射用製剤」です。
ダイビング
病歴診断書について
ダイビングの講習を受講する前に、病歴のチェックが必要です。楽しくダイビングするにはとても重要ステップになりますので、事前に以下の内容をご確認ください。
もし、下記内容にYESの項目がありましたら、その項目に関する医師の診断書が必要になります。
病気に関する質問表
- 現在妊娠をしている。もしくはその可能性がある。
- 現在処方箋よる投薬を受けている(避妊薬、マラリア予防薬は除く)。
- 45歳以上の方で、以下の項目が1つ以上あてはまる。
- タバコ、葉巻、パイプを喫煙している。
- コレステロール値レベルが高い。
- 食事療法で調整しているが糖尿病である。
- 家族に心臓発作や脳卒中の病歴がある方がいる。
- 現在診療を受けている。
- 高血圧である。
- 以前に以下の病気にかかったことがある、または現在かかっていますか?
- 喘息(ぜんそく)、あるいは呼吸時の喘息(ぜいぜいする)、または運動時に喘鳴が起きる、または起きたことがあった。
- 花粉症、またはアレルギー症状のはげしい発作、あるいは頻繁な発作がある。
- カゼ、副鼻腔炎、または気管支炎によくかかる。
- 何らかの肺の病気(肺炎)などがある、またはなったことがある。
- 気胸がある、またはなったことがある。
- その他の肺の病気がある、またはなったことがある。もしくは肺(胸部)の手術を受けたことがある
- 行動上の問題、または精神的、心理的な問題がある、またはなったことがある(不安発作、閉所恐怖症、広場恐怖症など)。
- てんかん、発作、けいれんを起こす、またはそれを抑えるための薬を服用している。
- 複雑型偏頭痛を繰り返し起こす、またはそれを抑えるための薬を服用している。
- 意識喪失や、気絶したことがある(完全、または一時的に意識を失う)。
- 乗り物酔いがよくある。または乗り物酔いが激しくある(船酔いや車酔いなど)。
- 赤痢または脱水症状で治療が必要である。
- なんらかのダイビング事故や減圧症である、またはなったことがある。
- 中程度の運動ができない(例えば、約1.6キロの距離を12分以内で歩くことができない)。
- 過去5年間に娯楽で麻薬を使用したり、治療のために麻薬を用いた、またはアルコール依存症になったことがある。
- 腰痛を繰り返し起こす。
- 腰部または脊椎の手術を受けている。
- 糖尿病である、またはなったことがある。
- 腰、腕、脚の外科手術、外傷や骨折後の後遺症がある。
- 高血圧症、または血圧降下剤など、血圧をコントロールする薬を服用している、またはしていた。
- 心臓疾患にかかっている、またはわずらっていた。
- 心臓発作が起きる、またはおきたことがある。
- 狭心症、あるいは心臓外科手術、または動脈手術を受けている。
- 副鼻腔の手術を受けている。
- 耳の病気や手術を受けたり、聴覚障害、平衡感覚障害である。
- 耳の病気を繰り返し起こす、または起こしていた。
- 出血やその他血液障害がある、またはあった。
- ヘルニアにかかっている、またはわずらっていたことがある。
- 潰瘍、または潰瘍の外科手術を受けている。
- 大腸や回腸の人工肛門の手術を受けている。
- 過去5年間に、意識を失う頭部の損傷があった。
病歴があっても全くダイビングができないわけではありません。医師の許可をもらえば、講習に参加することは可能です。
特に呼吸器系・循環器系に 病歴がある場合は、医師に相談して判断を仰ぐのが大切です。また、病歴がなくても60歳以上の高齢者の方は診断書が必要となることが多いです。
以下にあげる病歴は、ダイビングによる影響・リスクを特に注意してください。
- 喘息
- 心臓疾患
- 糖尿病
- てんかん
- 気胸
- 高血圧
当日の健康チェックも大事です!
ダイビング当日の朝にも、健康チェックを行いましょう!
- 前の晩の睡眠は十分なものか?
- 体はだるくないか?
- 食欲はあるか? 朝食は脂っこいものは控えましょう
- 体温は平熱か?
- 下痢や脱水症状はないか?
- 潜る前に飲酒していないか? 飲酒が潜水前12時間以上あいているか?
- めまい、手足のしびれはないか?
- 粘液で鼻づまりはないか? 耳抜きは正常にできるか?